3月1日  【稽古の解説】

今日は父兄参観日です。 プロデューサーの黒部さんの発案で、今月から父兄参観日は父兄にも稽古に参加してもらうことになりました。
その記念すべき第1回目のテーマは『主従関係』です。稽古の最初はいつもの通り、上手奥からの縦列歩行です。
本来、役者は舞台に乗るとき、舞台の動線を確認すること、舞台と客席の感覚を確認すること、会場内の響きを確認すること、など沢山の確認作業がありますが、今回は稽古場全体を縦列で歩くことだけを団員と一緒に歩きました。
次に上手から2人1組になって下手まで稽古場を横断してもらいました。
1−1.このプログラムに参加していた「親」は前を歩き、「子」が後ろを歩きます。
 つまり、『主が前になり、従が後ろに従う』プログラムです。
この場合、「親」は『子を導く先をしっかり見つめ』、「子」を『背中でしっかり引き付ける』気構えが必要です。
1−2.次は下手から「親」の前に「子」を歩かせます。つまり、『主が後ろになり、従が前で従う』プログラムです。
この場合、「親」は『導く先に子をしっかり押し出す』気構えが必要になります。
2−1.次は上手から「子」が前になり「親」が後ろになっての歩行です。
つまり、『子が主導で、親は子に従う』という『信頼』のプログラムです。
 この場合、「子」が勝手に歩いては「親」が困ります。 あくまでも『親が後ろにいる子の自覚』と『子を信頼してついて行く親の自覚』が必要です。
2−2.次は下手から「子」の前に「親」を歩かせます。つまり、『子が主導になり、親は子が願う通りに前を歩く』プログラムです。
この場合、『自信をもって親から教わった正しい道を歩く子の自覚』と『教えた道を正しく歩いてくれると信頼する子に対する親の自覚』が必要です。

このプログラムは何回も稽古した後に1組ごとにテスト歩行をして貰うことで、はっきりと見た目の結果が出ます。また、他人の組を見ることで自分の組に何が足りないかも分かりますので、テストの後にもう一度稽古をしてもらいましたが、今度は「親の真剣な子に対する指導」が賑やかに始まりました。親子のコミュニケーションの課題も果たしていました。

次はカラーボールを使っての聴覚と発声の訓練です。
5色のカラーボールにそれぞれ「あ行」「え行」「い行」「お行」「う行」を割当て、親が発声する語を、子は割り当てられたカラーボールを取り上げて同じ発声をする訓練です。
この訓練は団員間では既に何回も行っており、ほぼ完全に全員が出来るようになっていますので、親の訓練のつもりで行ったのですが、これが大誤算。
この訓練は、親と子の間の教育がどんなに難しいかという結果になってしまいましたが、その原因は幾つかありましたので次回に持ち越すことにしました。
全体的には「同時に何組も稽古を行う場合、親も子も他の組が気になる」という傾向が見られました。初回なので当然のことなのですが、これは誰もが「世間体を気にする」つまり『報酬依存性の気質』を露呈する傾向にあることが分かりましたので、次回から『新奇追求性』つまり「好奇心」を強く持ってもらう稽古を心掛けたいと思っています。
次回は5月10日(日)AM10時〜PM5時の予定です。(指導総括 石井 裕介)

3月1日 稽古日誌

今日の稽古は日曜日。
日曜日の稽古日は父兄達に日頃どんな風に稽古をしているのかを知ってもらう為の日にしようと思っています。
そして、子供達と一緒に稽古に参加してもらい、楽しい稽古が出来ればと思います。
今日は大作のお母さんが朝から・・・大作と一緒に歩きから参加しました。
午後からはおすえのお母さん、松吉のお母さん、三郎兵衛のお父さんお母さんが参加し・・芝居の稽古も自分の子供と一緒に汗を流しながら走っている姿はとても微笑ましく楽しい稽古となりました。

そして、石井先生の友人の方が見学に、差し入れを持って来て下さり、みんなは休憩時に美味しそうに頂いき、とても嬉しそうでした。・・こんな日が時々あると良いですね!!・・・

最近の稽古場には毎回写真家の清水さんがみんなの表情をカメラで追ってくれています。一人一人の表情や稽古風景を細かく撮ってくれています。この写真はホームページで清水さんの写真コーナーをつくってお見せしたいと思っています。
出来た時は、是非見てください。        黒部

2月23日【稽古の解説】

『遂に全員で舞台を縦列に等間隔で歩くことが出来た!』
簡単そうに見えることなのですが、実はプロの演技者でも大変難しいことなのです。特に日本人は不得手のようで、昔のMGMミュージカル映画のような華麗な列を作ることがなかなか出来ません。何故できないのでしょう?
私は過去に松竹歌劇団にも宝塚歌劇団にも裏方として参加していますが、どちらも有名なラインダンスがあるのに何故MGMミュージカルのような華麗な列が出来ないのかずっと疑問に思ってきました。
そしてある時、「間隔を距離として考えるから出来ない」のだと気が付いたのです。間隔とは星と星の間隔のように「引力」、つまり「張力」が必要だったのです。

最近の劇団さくらの基礎訓練は2人1組にして「前の人を押し出す意識」と「後ろの人を引っ張る意識」での歩行訓練を行っていましたが、今日は全員で縦列歩行を行いました。そして結果として全員で見事に「等間隔の縦列歩行」が出来たのです。
この訓練は「等間隔」がテーマですが、訓練の途中で一度も「等間隔」を要求していません。一貫して彼等に要求したことは前記の2つの意識を同時に持つことだけでしたが、一人も欠けることなく全員で「等間隔の縦列歩行」が出来たことに驚きました。また、歩行の途中で停止させ、横列に向きを変えさせた後に肩を組ませた所、これも見事に全員が両隣と肩を組むことが出来ました。

プロの演技者でも「間隔」には「張力」が存在することを知っている人は少ないでしょう。また「張力」を「深部覚」で感じ取るセンス(感覚)を持っている人も少ないでしょう。しかし、彼等は教わることに「素直」だからこそ出来ることなのでしょう。
勿論、舞台でこの張力を感じる間隔を作れることや、張力による対人関係を作れるようになるにはまだまだ時間がかかりそうですが、また一つ団員たち全員が大きな可能性を持っていることを確信させてくれた今日の稽古でした。(指導総括  石 井)

2009年1月6日

明けましてお目出度うございます。
何かと困難な年明けのようですが、本年も知的障害者であっても社会に貢献できる人格形成を目標に、劇団さくらの稽古場をより一層熱くして行きたいと考えております。本年も変わらぬご支援を頂けますようお願い申し上げます。さて、昨日の初稽古で面白い実験をしました。全員が(団長もスタッフも全員)車座になって見守る中、おみつと喜作にモップで床を拭かせました。そして車座の全員に質問です。(夏川はこの問題を卒業しているので例外)『何が見える?』・・・・出てくる答えを次々ホワイトボードに書いて行きます。「おみつ!」「喜作!」「モップ!」「床」「バミリのビニールテープ」「ほこり」・・・・・(これが一次的な答え)「横に拭いてる」「遅い」「うまい」「きれいになった」「力が入っている」等々多数・・・・・(これが二次的な答え)残念ながら「力が入っている」という答え以外に「空気が違う」「疲れそう」「涼しくなった」「ザラザラとキュッキュッ」というような三次的な答えはありませんでした。
これは演劇の感情表現にとても重要な「共感覚」の実験ですが、障害者の指導者にとっても大切な実験です。私が第一次的とした見方は、言うならば「即物的」な見方です。知的障害者の多くは目で見たままを言う事が多いはずですが、さすがにさくらの団員は少数でした。第二次的な見方は「動的」な見方です。さくらの団員はこの答えが圧倒的に多数です。さすが!・・と言いたい所なのですが、実は危険性も持っています。良く考えてみるとこの「動的」な見方は「スキル」に繋がっていることに気が付くはずです。彼等が学校や作業所などで躾けられた結果とも執れるのです。「力が入っている」という答えは第三次的な見方と中間点にある答えだと思います。つまり、第三次的な見方は「共感覚」として「視覚」を元に「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」「平衡覚」「深部覚」などを共有する見方ですが、これが演劇の『自然な感情表現』になるのです。演劇の話では難し過ぎるので、障害者の指導で考えてみます。モップで掃除をしている「おみつ」を指導する考えで、おみつを褒めてみましょう。
「おみつ!掃除か。偉いね!」・・・・これは見たまま、第一次的で『報酬依存型』に進行する危険があります。「おみつ!奇麗になったね!」・・・・これは「動的」な見方で第二次的ですが、やはり『報酬依存型』に進行するかもしれません。
「おみつ!気持ち良いよ!」・・・・・これは指導側の感情を表現することで三次的です。   
おみつの「価値観」に期待した言葉です。
勿論いろいろな考え方がありますが、指導者が「指導する」という既成概念が強過ぎると現状を見誤ってしまう場合があります。指導者は何時も彼等と同じ背丈で感じていることが大切です。
その昔、静岡県のある施設で指導していた時にも同様の実験をしたことがあります。その時の主役「善太」は太鼓が上手でした。そこで善太に私から問題を出し、答えを太鼓で叩いてもらうことにしました。そしてその答えを全員で当てるという実験です。この時は「聴覚」の問題になりましたが、団員の他には救急医療が専門の大学教授、同じく精神科医、そして評論家の3人が同席しました。私の出した問題は「桜」です。こっそり耳打ちした私の問題に彼はしっかり頷き、ゆっくり小さな音から始まりました。やがて大きな乱れ打ちから連打・・そして再び音は小さくなり消えて終わりになりました。私は「見事!!」と心の中で叫んでいましたが、さて、答えです。色々な答えが出ましたが、大方団員達の答えは「吹雪」となりました。季節は冬、さすがに富士山を有する静岡ならではの答えだと思いましたが、同じ障害者同士「桜吹雪」で共通語になるのにはびっくり!「こいつら宇宙人か?」と思いました。問題は3人の先生方です。教授の答えが「ガード下の電車の音」で、精神科医が「火事」、そして評論家の答えは「・・・・」ありませんでした。もう既に私が言おうとしていることを皆さんは察しておられると思いまが、我々指導する者が最も気を付けなければならないのは「既成概念」です。「ガード下の電車の音」・・救急医療の教授らしく、いつも危険を考え、用意されておられるのでしょう。「火事」・・・・・・・・・如何にも精神分析をいつも心掛けておられる精神科医らしい    聴き方だと思いました。「・・・(無言)」・・・・提議と結論がなければ評論はできないのかも知れません。私は技術屋です。従って論理的なことから技術を考えるのではなく、「どうしたら出来るか?」「どうしたらこの技術を教えられるか?」に根ざして理論を組み立てます。立場上理論的なことは大学の先生や研究者の方々に考えて頂いて、私達は教えて頂く立場です。今回のさくらの実験でも、評論家のように答えを口に出して答えられない人もいます。非常に残念なことですが、指導の現場では団員も指導者もスタッフも管理者も父兄も全員が一個の人間に立ち返って基本から勉強しなければ意味がないのです。大人になって基本的な気質である『損傷回避性(尻込み)』や『報酬依存性(世間体への目配り)』を強めては何も勉強になりません。失敗して失敗して失敗して・・・やがて覚えるのが技術です。既成概念で指導したらとんでもないことになるのです。・・・・こんな修羅場なような稽古場ですが、みなさん是非一度お出かけ下さい。本年も宜しくお願いします。(指導総括  石井 裕介)

12月8日 稽古日誌

 さくらの団員達は、団員としてどうあるべきかを芝居の稽古の中でも石井先生から学んでいます。
生活指導が足りない分先生には負担をかけていますが、最近はみんなの意識の高さが感じられます。
どんな所に行っても、団員として、しっかりとした行動が出来るよう指導しています。
今では、稽古が終わると私たちが見ていなくても団員達は、石井先生や使用した稽古場・コミュニティーセンターのスタッフの方達に挨拶をして帰っています・・・・・しっかりとした顔で!!!
                           プロデューサー

【解説】

「認知」と「反射」の問題ですが、理論的には大変難解になりますので、ここでは簡単に解説します。(詳しくは後ほど私が責任執筆している『なんでミュージカルなの?』のページの技術編に書きますので気長にお待ち下さい。・・?)一般的に良く知られている脳の認知では、言語は左脳、音楽は右脳にあると言われ、また身体機能の認知も右側が左脳、左側が右脳にあることも知られています。しかし、私はこれらを文化論的な「優位性」として捉えるべきだと思っています。もっと臨床として詳細に分析しなければ、このことは確信を持つに至らないということです。例を挙げれば、音楽家が音楽を聴く時は左脳で聞くと言われ、私自身も音楽家として修行していた時代は音楽を情緒として聴くことはなく、あくまでも技術としての音楽を考えていました。また、過去にも世界的に著名なピアニストが「ピアノコンチェルトを暗譜で演奏している時、何を考えていますか?」と質問された答えが「あの譜面のページは端が折れて汚れていたとか、あの所に書き込みがあったとかを考えています」というものでした。つまり、これは音楽を演奏したり聴いたりする場合でも、認知には左右の脳を使用していることを表しており、同時に認知は左右の脳機能が移行することも表しています。1978年、角田忠信教授の聴覚認知に関する研究では、日本人と西洋人の音声認知の大脳半球差モデルが発表されていますが、それによると日本人の言語認知は左脳にありますが、西洋人の言語認知は子音が左脳にあり、母音は右脳にあります。これ以上は長くなりますので別のページにしますが、劇団さくらの発声訓練では日本語をローマ字にして子音と母音を分けて行いますが、この根拠は聴覚の認知機能を高める所にあります。また、視覚認知にも同様のことがあり、結果として(これも長くなりますので、説明は別にします)方向の優位差が現れます。これが上手・下手に分かれる理由です。演劇には古くからセオリーとなっているものがたくさんありますが、その殆どが認知の脳機能から考えても自然であることが分かります。また、昨今のアイドルブームで左脳認知しかない「幼児語」のまま発声している大人が多くなりました。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」にもミュージカル映画「雨に歌えば」にも発声が「品格」を表すものとして扱われていますが、最近はテレビでも舞台でもセオリーを無視した表現が多くなっており、この現実をどう受け止めれば良いのか戸惑っています。(指導総括  石井)

12月8日 第479回レッスン
 
だれもが楽しみなのが「昼食」です。
稽古日、さくらでは、コミュニティーセンターのロビーを使わせて頂き、昼食をとっております。
おかあさんの手作り弁当の人 コンビニ弁当の人それぞれです。今日もリーダー弥惣兵衛の「いただきます」の発声で食べはじめました。
お母さんの愛情一杯弁当には思わず覗き込みたくなってしまいます。特製焼肉弁当は梅吉。 
ダイエットを意識してか、わりと小ぶりで足りるかしら・・・これは次郎兵衛弁当 彩もよくバランスを考えての
お弁当はどれも見事です。
そして食後は、弥惣兵衛が団員達の状況を見て「ごちそうさまでした!」
とみんなで挨拶をします。
どこの会場に行っても、さくらの団員として、きちっとした行動が出来るよう、日常の些細な行動を見直しながら、私も団長として学んでおります。
                             団長

【解説】

「歩く」ことは役者にとっては基本中の基本です。演技者としての基本的な「歩行」の習得は勿論ですが、演じる役の「歩行」はその人間の職業を表し、性格や気質という内面までを表現します。昔は「(役者は)舞台から一寸浮き上がれ」とよく言われました。事実、森繁久彌さんや長谷川一夫さんといった大看板の役者さんの演技は浮き上がって見えましたが、演技の基本である「歩行」ですら最近は「雲の上を歩くように」軽々と浮き上がっているように見える役者さんは少なくなりました。(演技指導の夏川はさすがに演技者として見事な歩行をしています。心ある若い役者さんは一度夏川の指導を受けられては如何ですか?)さて、劇団さくらの「歩行訓練」ですが、歩行は端的に心を表します。「病める時」「心が重い時」はとぼとぼと、「心楽しい時」「嬉しい時」「幸せな時」はうきうきと、というように、私は障害を持った人達の稽古では最初の「歩行」で団員達のその日の調子を見ています。今回の団長さんの日誌にある「見えなければ直せ」という「裏の意味」はもう一つ深くて「他人(ひと)の振り見て、我が振り直せ」という教育的実践だけでなく、指導するという行為が動機を強め、自身のドーパミンの分泌を促す効果を期待することも隠されています。健常者であっても同じですが、大抵の人が「自分は正しい」と思って行動しています。しかし他人を教えてみると我が身の間違いに気が付くことがあります。「教えることは、教わること」でもあるわけですが、「我が身の間違いに気付く」ことは「普段の自分ではない」状態に自分を持って行った時に初めて出来ることです。0. =1/2を彼等が理解することは大変です。しかし0.5を新しく「テン5」という名前にして何番と何番の「真ん中」という意味だと説明し、行動させると比較的容易に理解します。団長さんの日誌にある「大混乱」になった理由は「サインの重複」による混乱です。従って「順番が後になるほど指示系統が乱れる」という事例は、彼等を指導する上で重要なヒントになります。良く見られる事例で、一人の人が注意を与えた後に周囲の人が同じ注意をすることがありますが、このサインの重複は最初の人の注意を消してしまう効果を持つ悪い事例です。また、「確認復唱」という指導方法ですが、この時の「復唱」が「確認のため」であるか、または単なる「オーム返し」になっていないかの見極めと判断が重要になります。万一「オーム返し」になっていると判断される場合は、随意性を一段落とした別メニューで訓練を行う必要があります。詳しくは「なんでミュージカルなの?」のページをご覧下さい。(指導総括  石井裕介)

1124日 第476回レッスン

 精神障害や人格障害と知的障害との関連について、あるのかないのかを含め、専門的なことは分かりませんが、今世の中を騒がしている様々の事件の裏側に「障害」という重い問題を含んでいることは確かなことだと思っています。こんな時代だからこそ、知的障害者の「発達促進」と社会に適応する「知的障害者の人格形成」を目標に活動している劇団さくらは、今まで以上に世の中のお役に立てる劇団として成長させなければならないと、団長として更に気を引き締めている所です。さくらの団員たちは、今日も演劇の基本を通して様々な機能の強化を学びました。稽古の最初は「歩く」ことからで、「侍になって歩く、農民になって歩く」という問題です。侍組と農民組に分かれ、侍組を弥惣兵衛、農民組を名主が演技マスターになって団員たちを見守る中、石井先生から「侍に見えるか?農民に見えるか?見えなければ直せ」と二人に指示が出ると、二人はそれぞれの感覚で直すために走っていました。次は舞台の縦のラインを歩く稽古です。通常舞台の中央ラインを0として、上下に1、2、3、4、5、6、7、8と90センチ幅で番号が書かれていますが、ラインとラインの中心、0.5には何も記しがありません。今日は0.5を探して歩く稽古でした。1と2の中間は1.5、3と4の中間は3.5ということですが、小数点を学んでいない団員もいるのか「0.5は半分」ということを理解するまでにかなりの時間を要します。団員を3組に分け、代官、名主、松吉の3人がそれぞれの組の先頭に指示を出し、全体を弥惣兵衛が監視するという組織的な指導が行われましたが、指示通り出来た者が次の団員に指示を出し、その前の団員が監視するという段取りになると大混乱になりました。指示を確認復唱するだけでも「1.8」が出てきたり「5.2」があったりと大変です。この稽古は能姫が奇麗に歩けるようになるまで続けられることになりそうです。人間と舞台を作り上げる地道な稽古は、この冬初めて暖房がついた稽古場で、見ている者を一層熱くします。(団長)

 

1月12日の稽古

知的障害者を含め、『障害は個性』と長い間言われ続けていますが、知的障害者の場合この個性とは一体何を指すのでしょうか? ・・個性ですから症候群や個人の欠点を指すものではないことは確かなことです。演劇で必要な『役』は、一人ひとりが異なる「性格」を持っており、文字通り『個性』です。劇団さくらの稽古は今この『個性』を獲得するための訓練を盛んに行っています。
通常、役者が演じる役の『個性』を作っていく作業を「役作り」と言いますが、現代の俳優、特に若い俳優たちがこの「役の個性」を作る作業を誤っている節が見られ、物真似に終始していることは残念なことだと思っています。
私は、「個性」とは『性格が持つ特色』だと考えています。従って性格とはどのようなものか分析する必要があります。劇団さくらで行っている『役の性格分析』は次のようなものです。
まず、『性格』を作る基盤となるものが生まれながらにして持っている(つまり遺伝ですが)『気質』です。気質を分類するには次の4つの項目に分け、それがどの程度含まれているか調べます。(台本を良く読めば分かります)
【気質の分類】
. 『新奇追求性』・・・・・・好奇心がどの程度か?

. 『損傷回避性』・・・・・・尻込みはどの程度か?
. 『報酬依存性』・・・・・・世間体を繕う程度は?
. 『固執』・・・・・・・・・しつこさはどの程度か?
以上の4項目を内面的に調べますが、実際にはこの気質が表面に出易い人と、内面に包み隠されるタイプがあります。
(詳しくは「なんでミュージカルなの?」のページ、気質と性格の章をご覧下さい)
【タイプ別の分類】
1. Cタイプ(興奮し易いタイプ)の特徴
 ☆全体的に楽間的・開放的・精力的でストレスのなさそうなタ イプ。
. Tタイプ(興奮しにくいタイプ)の特徴
 ☆全体的に悲観的で危険を恐れるタイプ。疲れ易く、人見知りをするなど、いつもストレスを持っているように見えるのも特徴。このように『気質』を分類しますが、この気質だけがそのまま表に現れては全く社会性を伴わない「理性」のない人になってしまいます。そこで必要になるのが『性格』です。一般的に性格と言うと、「勝ち気な性格」とか「温和な性格」というような言われ方をしますが、実際には「遺伝的に持った気質を基盤にして、社会性を得るために生後の環境や教育によって育てられる能力の一種」と演劇の指導上、私は定義しています。
【性格の分類】
1.意志力・・・・・・・・演技では能動的演技で表されます。2.協調性・・・・・・・・演技では受動的演技で表されます。3.自制心・・・・・・・・演技では自律的演技に現れます。
演劇では台詞の分析で得る『気質』を基盤に上記の3項目が「どの程度強いか?」で演じる役の『性格』を演じることになりますが、具体的な演技方法としては『演技の方向性』で表されます。これを文章だけで説明することは非常に困難なのですが・・、
1.    意思力は、上手から下手へ「押す形」で表現されます。(能動的)
2.    協調性は、下手から上手を「引く形」で表現されます。(受動的)
3.    自制心は、正面に向けて「上昇の形」で表現されます。(自律的)これだけの説明で皆さんに理解して頂くことは到底無理だと思いますが、「寄り合い」(初世・坂田藤十郎の言葉)など自然な場ではごく普通に起こっていることなのです。また、テレビなどのパネルディスカッションで白熱した議論が起こっている場合にも見られますが、実際に説明されないと分からないかも知れません。自然な演技を追求する演技術としては重要な課題なのですが、今の日本ミュージカル界では全く顧みられていないことなので、興味のある方や若いミュージカル俳優の人達は是非さくらの稽古をご覧になって下さい。人間は本来アンバランスな『気質』だけを持って生まれます。そしてその『気質』を基盤に『性格』にして行く過程は「人間の成長」として重要な問題です。
劇団さくらは『人格形成』を目標にした劇団です。従って、団員個々の『気質』に留意して、団員個々の『性格』を求めて行くことが、団員個々の『個性』を得ることだと考えています。(指導総括 石井裕介)

11月10日  第474回レッスン

 今日、石井先生は「立体的な芝居になるように・・・」という言葉を使いました。お客様から見た舞台が平面的ではなく、立体的に見えるようにということのようで、台詞、動き・・・ますます難しくなり、本物を目指しての地道な取り組みがなされています。私は「上手、下手(かみて、しもて)」という言葉を、単なる舞台用語として無意識に使ってきましたが、その言葉はとても深い意味を持つという事を、この稽古で知りました。(それについて、ここに書き込みすることは、私の乏しい知識では到底表現できませんので、何かの折に石井先生から解説して頂くことにします)きっと、現在の演劇界ではなかなか学ぶ事が出来ない演技術なのでしょう。それを彼らは吸収できるのですから、さくらの稽古場は贅沢です。シーン13「闇討ち」の場面の稽古も大変興味深いものでした。暗闇ですから、演者同士もお互いがよく見えません。声に反応するということはどういうことでしょうか?声の出し方はどうなるのでしょうか?暗闇になった時、人は聴覚が異常に強くなる。それをみんなで考えながら学んでいます。 「稽古場の電気を消してみようか・・・そしたらどうなる?」先生はそんな冗談を交え、笑いながら団員たちを指導していました。今日も時間の経つのが早く感じられた一日でした。   (団長)

2月2日 稽古日誌

大作が先生に!!!そして松吉も・・・

台詞を言うことが如何に難しいか・・・・
ひとつの台詞に健常者の役者3名がつまずき、石井先生にホワイトボードを
使って指導を受けている時。

何気なく石井先生が「大作、この台詞いってみて!!」
大作は自然に
その台詞を言いました。
大作は見事に正解!!そして、「松吉、言ってみて!」
松吉も見事に正解!!
さあ・・それから、大作が3人に指導です!!
面白い稽古場風景です。
彼等は学んだ事をしっかり身につけているのですね。

そして、今日はプロの写真家の清水啓二さんが稽古場に来て、
稽古開始から稽古風景を撮り続けてくれました。
最初はカメラが入ると彼等の稽古に邪魔にならないか・・・
カメラ目線になったり・・・意識して・・・と心配をしていたのですが・・・
彼等はカメラを意識せず、いつものようにしっかり稽古をしていました。
プロのカメラマンだと分かっているのです。
清水さんは、また来週来るのが楽しみですと言って帰られました。
プロデューサー

2009年!!今年も始まりました。

今年は「劇団さくら」が更に飛躍できるように、団員達が社会貢献を目指して安心して稽古場で稽古に打ち込めるように・・・多くの人達に「水怒り」の作品を観てもらえる場を・・・全国公演を目指して私は頑張ろうと思います。

今年も宜しくお願い致します。
           プロデューサー

 

2009年4月6日 稽古日誌

1999年2月に誕生した劇団さくらは今年で丸10年経ちました。
節目の年の今日4月6日は、新たな年度の最初の稽古日となりました。

新たな出発に際し、創立以来10年間団長を務められた坂野恭子さんが退団されて、新団長には昨年5月の「水怒り」甲府公演をプロデュースし、成功を収めたプロデューサーの黒部るみ子さんが選出されました。

今後も新団長を中心にしたプロ劇団としての活動は継続されますが、新団長の構想で団員の父兄も積極的に運営に参加し、より『みんなのための劇団』という身近な活動から障害者劇団の輪を広げる方針が示されました。

それに伴い指導陣も、従来の団員管理のためだけの生活指導者は置かず、新団長を含め指導者全員が演技指導だけに留まることなく、団員の劇団活動のための全てをサポートすることになりました。
このようなことから、新生劇団「さくら」は父兄を交えた積極的な劇団活動が期待されますが、その記念すべき第一回の稽古は「共同作業」をテーマにしました。
3人を1組として「奉行組」「代官組」「武組」「松吉組」「大作組」「千蔵組」に分かれ、夫々の組が「組員同士で協力して指定された色のボールを配る」ことと、「確認作業」を行う訓練をしました。

訓練内容の詳細については5月10(日)に行われる父兄参加の「稽古見学日」に再度訓練を行うことにしていますので、ご興味のある方は当日練習所にお越し下さればご説明いたしますが、結果としては劇団さくらの団員は全員が「作業内容の理解」や「作業の実行性」は非常に優秀であることが分かりましたが、「団員同士、合意の共同作業」という「コミュニケーションとしては高次の作業」にはまだまだ問題が多いことも分かりました。

今後は新団長の方針に添った『みんなのための作品創り』『みんなのための稽古』を目標に、指導陣全員で努力する決意でおります。今後も宜しくお願い申し上げます。                     2009.4.6  指導総括 石井裕介

1月 12日  第484回レッスン

昨日今日と二日続きの稽古でした。
昨日は体験希望者がありました。
16歳のガッチリとした体格をした男の子です。
石井先生は彼に三郎兵衛の役をやらせました。
次郎兵衛・三郎兵衛…二人揃うとお似合いです。
稽古を見ていて、芝居の中に突然体験者が入っても、ビクともしない団員になったのだな~と改めて感じました。
今「さくら」で取り組んでいることを、多くの方に知って頂くことが団員達にとって、もっとも大切な事だと思いました。(団長)

稽古日誌

劇団さくらにとって今年はいろんな事があった年でした。旗揚げ公演からプロの劇団として、今年5月に山梨で多くの方達が集まって実行委員会を作ってくださり、「水怒り」山梨公演(2回公演)を成功することが出来き、第一歩を踏み出すことが出来ました。そして多くの観てくださった方達から劇団員にいただいたお言葉は温かく、彼等を絶賛してくれるものでした。長い間、石井先生の指導のもとで彼等は確実に成長していること、公演後の稽古でまた更に成長しつつあるのを毎回の稽古場で感じています。来年はたくさんの場所で公演できること、多くの人達に観ていただき感動を与えること・・・社会貢献を目標に努力だと思っています。団員、父母、指導スタッフみんなで一緒に前進です!!来年も宜しくお願い致します。                           プロデューサー

1月5日 稽古日誌

年が明け今日は初稽古でした。
今日が仕事はじめの団員も多く出席率50%でしたが 芝居を学ぶ若者たちで熱
気溢れる稽古場でした。
障害を持っていても芝居を通して学び演じ お客さんに喜んでもらう目的を持つ
「さくら」の団員達は素敵です。今日も輝いている顔にであいました。
今年も山あり谷ありいろんなことがあるでしょうが がんばっていきたいと思います。                         
団長

ありがとうございました